研究成果 柔らかいバイオ有機デバイスだから、人に優しい。デジタル・ヘルスケアから医療ITまで。

研究成果

世界最軽量、世界最薄の柔らかい電子回路

世界最軽量、世界最薄の柔らかい電子回路の開発に成功
〜羽毛よりも軽く、装着感のないヘルスケアセンサーへの応用が期待〜


世界で最軽量(3 g/m2)かつ最薄(2マイクロメートル)の柔らかい電子回路の開発に成功しました。開発の決め手は、表面が粗い1マイクロメートル級の高分子フィルムに、厚さ19ナノメートルという極薄の絶縁膜を均一かつ密着性高く形成する手法です。より具体的には、陽極酸化を用いた独自の室温プロセスにて、高均質かつ基材への密着性の高いアルミニウム酸化膜を形成する手法を確立しました。装着感のない(人間が感知できない)ヘルスケアセンサー、ストレスフリーの福祉用の入力装置、医療電子機器用のセンサー、衝撃に強いスポーツ用のセンサーなど多方面への応用が期待されます。

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有機LED

世界最軽量、世界最薄の柔らかい有機LED(発光ダイオード)の開発に成功


世界で最軽量(3 g/m2)かつ最薄(2マイクロメートル)の柔らかい有機LEDの開発に成功しました。 開発の決め手は、表面が粗い1マイクロメートル級の高分子フィルムに、ダメージを与えずに有機LEDを製造する低温プロセスです。より具体的には、高エネルギープロセスが必要な酸化インジウムスズ(ITO)の透明電極を利用せず、低温かつ低損失で成膜可能な導電性高分子を電極(陽極)に活用しました。 自由曲面にも張り付けられるユニークな有機LED照明、電子看板、装着感のないヘルスケアセンサー用の全く新しい光源など多方面への応用が期待されます。

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有機太陽電池

世界最薄かつ最軽量の有機太陽電池の実現に成功
〜有機太陽電池 1g あたりの発電量10Wを達成〜


厚さ1.4 マイクロメートルという極薄の高分子フィルムに、有機半導体薄膜を均一に形成するプロセス技術を開発し、世界で最薄かつ最軽量の有機太陽電池を高分子フィルム上に作製することに成功しました。この有機太陽電池1g あたりの発電量は10W に相当し、この値はあらゆる太陽電池と比較しても最軽量、最薄、最柔軟な太陽電池です。また、この超薄型の有機太陽電池は、曲げ半径35 ミクロンに折り曲げても、エネルギー変換効率4.2%を維持しつつ機械的にも壊れません。さらに、この薄型有機太陽電池を応用して、300%伸縮させても電気的・機械的な特性が劣化しない伸縮自在な太陽電池を実現しました。

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高温加熱殺菌に耐えられるフレキシブル有機トランジスタ

世界初、滅菌できる柔らかい有機トランジスタの作製に成功
〜体内に埋め込めるデバイス開発に道〜


高温の滅菌プロセスに耐え得る柔らかい有機トランジスタを高分子フィルム上に作製することに世界で初めて成功しました。高耐熱性の有機トランジスタを実現するための決め手は、厚さ2ナノメートルという極薄の自己組織化単分子膜を高分子フィルム上に高密度で向きを揃えることによって、高温でもピンホールを発生しないようにする絶縁膜形成技術でした。本成果は、装着感のないウェアラブル健康センサや柔らかいペースメーカーなど体内埋め込み型デバイスへの応用が期待されます。

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世界最軽量、世界最薄の柔らかい電子回路

高温加熱殺菌に耐えられるフレキシブル有機トランジスタ

【概要】我々は羽のように軽く、薄く、フレキシブルで、曲面や拍動する面に密着する高耐久の電子回路の開発に成功しました。この回路は薄さがおよそ2ミクロンで、曲げ半径が5ミクロンで、紙のようにくしゃくしゃに丸めても壊れません。将来的には、医療デバイス、ウェアラブルヘルスモニタ、温度センサ、ディスプレイなどへの応用が期待されています。


本研究では世界最軽量 (3 g/m2) かつ最薄 (2 µm) の高性能有機トランジスタ集積回路を、1.2 µm厚のポリエチレンテレフタレート基板上に作製し、超フレキシブルで高耐久な回路を実現することに成功しました。このデバイスは、プラスチックのラップの5分の1の薄さで、標準的なオフィス用紙の5分の1の軽さです。デバイス上には有機トランジスタの集積回路によるタッチセンサが構成されています。センサの1セルは4 mm角で、4.8 × 4.8 cm2のアクティブエリアに144 (12 × 12) セル搭載されています。この柔軟なセンサシステムは、人間の肌のような自由曲面に貼り付けることができるため、将来的には体温や血圧を始めとする種々の生体信号を継続的に測定することが期待されます。デバイスを生理食塩水に2週間以上浸漬しても、電気特性に劣化は見られませんでした。さらに、このデバイスを伸長したエラストマーに貼り付けたところ、デバイスは電気的・機械的特性の劣化がほぼなしで233%まで伸長させることができました。

これらデバイスの作製に不可欠なのは、表面の荒い1.2 µm厚のポリマーフィルムの上に絶縁膜を作製する技術です。成膜には、柔軟な極薄基板へのダメージを防ぐため、高温・高エネルギープロセスが使えません。今回用いた技術では室温でのプロセスが可能になり、良好な接着性と自己回復作用を持つアルミニウム酸化膜を19 nm堆積することに成功しました。


【論文詳細】Martin Kaltenbrunner, Tsuyoshi Sekitani, Jonathan Reeder, Tomoyuki Yokota, Kazunori Kuribara, Takeyoshi Tokuhara, Michael Drack, Reinhard Schwoediauer, Ingrid Graz, Simona Bauer-Gogonea, Siegfried Bauer, and Takao Someya, “An ultra-lightweight design for imperceptible plastic electronics”, Nature  499, 458–463 (25 July 2013) doi:10.1038/nature12314.

 

device1

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世界で最も薄いOLED

有機

【概要】私たちが開発した超薄膜OLEDは厚さがわずか2マイクロメートルで、家庭用ラップの5分の1の厚さしかありません。さらに、1平方メートルあたり4gの重さしかなく、同サイズの普通紙の20分の1の軽さです。曲げたりティッシュのようにくしゃくしゃにしたりすることができるディスプレイに応用が期待されます。


私たちのグループはオーストリアのヨハネス・ケプラー大との共同研究により、2マイクロメートル厚の極薄ポリマーOLEDを開発しました。このポリマーOLEDは前例のないほど機械的特性に優れており、非常にフレキシブルで伸縮することもできます。我々は極薄OLED用に様々な色の発光ポリマーを用いました。その中で、RGBディスプレイにも利用できる高品質な赤色発光ポリマーを合成することに成功しました。このポリマーOLEDはディスプレイ用途にも用いることができるほど明るく光り(100 cd/m2)、実用化まであと少しのところまで来ています。さらに、このOLEDはとても薄いので非常に軽量でフレキシブルです。重さは1平方メートル当たりわずか4グラムしかなく、動作させながらティッシュのようにくしゃくしゃにしてしまうことができます。

この非常に高いフレキシビリティを持ったOLEDを使って、私たちは世界初の伸縮ポリマーOLEDを実現しました。前もって伸長させておいたゴムに極薄OLEDを貼り付けてからゴムの伸長を解くことで、ゴム表面でOLEDに波状構造を持たせ、アコーディオンのように伸長性を持たせました。これは従来の分厚いデバイスには不可能でした。波状構造をとったOLEDと一体となったゴムは伸長させることができ、OLEDにほとんどダメージなく繰り返し伸長させることができます。従来の伸縮電子デバイスでは、素子間のみが伸縮するものがほとんどでした。本研究では、比較的大面積のOLEDが2倍もの面積変化を伴って伸長させることができることを示しました。今後の研究でより大きな伸長性を達成することもできるでしょう。

この技術は様々なアプリケーションに応用することができます。このOLEDはひじや手の関節部の曲げに耐えることができるフレキシビリティを有するので、衣服にLEDを取り付けて、さまざまなデザインや広告、安全表示を衣服上に示すことができます。同様に、人の皮膚と同様の伸長性とフレキシビリティがあるので、人工皮膚やスマート絆創膏にも応用することができます。将来的には、ロール単位で購入が可能なほど安価な照明やディスプレイを作ることが期待されていて、交通事故等の緊急の場合でも好きなメッセージを表示させることができます。将来的には今回作製したデバイスの特性・安定性を向上させることで、より複雑なシステムに組み込むことができるようになり、大量生産も可能になるでしょう。

【論文詳細】Matthew S. White, Martin Kaltenbrunner, Eric D. Głowacki, Kateryna Gutnichenko, Gerald Kettlgruber, Ingrid Graz, Safae Aazou, Christoph Ulbricht, Daniel A. M. Egbe, Matei C. Miron, Zoltan Major, Markus C. Scharber, Tsuyoshi Sekitani, Takao Someya, Siegfried Bauer, and Niyazi Serdar Sariciftci, ”Ultrathin, highly flexible, and stretch-compatible PLEDs”, Nature Photonics (28 July 2013) doi:10.1038/nphoton.2013.188.

 

OLED1

Ultrathin PLED operated as free-standing foil. Because our PLEDs are so thin, they can be crumpled like a piece of tissue during operation and do not break. 

OLED2

Ultrathin PLEDs become stretchable when they are laminated to a pre-stretched elastomeric band. When the band is relaxed, out of plane wrinkles and folds with bending radii smaller than 10 μm form. Like this, PLEDs can be stretched repeatedly to twice their length without damage.

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世界最薄・最軽量の有機太陽電池

太陽電池

【概要】厚さ 1.4 マイクロメートルの極薄の高分子フィルムを基板に用いて、世界最薄かつ最軽量の有機太陽電池を作製することに成功しました。この太陽電池のエネルギー変換効率は同じ材料でガラス基板上に作製したものと同程度の4.2%で、素子を300%伸縮させても電気的・機械的な特性が劣化しませんでした。

有機半導体を用いた太陽電池は、高分子フィルムの上に容易に製造できるため、大面積・低コスト・軽量性を同時に実現できると期待されています。しかし、ガラス基板上と同程度の高エネルギー変換効率をもつ有機太陽電池を、柔軟性に富む薄膜の高分子フィルム上に作製することは困難であり、その解決策が求められていました。我々は、厚さ1.4マイクロメートルという極薄の高分子フィルムに、有機半導体薄膜を均一に形成するプロセス技術を開発し、世界で最薄かつ最軽量の有機太陽電池を高分子フィルム上に作製することに成功しました。この太陽電池は、厚さ1.4 マイクロメートルという極薄の高分子フィルム上に作製されているにもかかわらず、ガラス基板上に同じ材料で作製したものと同程度の4.2%のエネルギー変換効率を達成しています。極薄フィルム上に作製しているため、優れた柔軟性を持っており300%伸縮させても電気的・機械的な特性が劣化せず、直径35マイクロメートルの細さの髪の毛に巻きつけることもできます。また、この有機太陽電池1 gあたりの発電量は10 Wに相当し、あらゆる太陽電池のなかで重さあたりの発電量が最も大きい値となっています。本成果により、今後、太陽電池の携帯用情報通信機器への応用や、身に着けても重さを感じさせないヘルスケアや医療用デバイス用の電力供給源など新たな用途が拡大するものと期待されます。

【論文詳細】Martin Kaltenbrunner, Matthew S. White, Eric D. Głowacki, Tsuyoshi Sekitani, Takao Someya, Niyazi Serdar Sariciftci, and Siegfried Bauer, “Ultrathin and lightweight organic solar cells with high flexibility”, Nature Communications,3, Article number: 770 (03 April  2012) doi:10.1038/ncomms1772.

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高温加熱殺菌に耐えられるフレキシブル有機トランジスタ

高温加熱殺菌に耐えられるフレキシブル有機トランジスタ

【概要】150℃の加熱殺菌後でも駆動する高耐熱性の有機トランジスタを世界で初めて実証した。このトランジスタは金属と高分子のハイブリット封止膜を利用することで耐熱性の改善がされており、加えて有機半導体DNTTと自己組織化単分子絶縁膜を用いることで高移動度、低電圧駆動も同時に実現している。

金属とパリレンによるハイブリッド封止膜により殺菌条件として利用される150℃まで耐熱性を改善した(図1)。このトランジスタは有機半導体に高移動度のヂナフトチエノチオフェン(DNTT)、ゲート絶縁膜に4nm厚のアルミ酸化膜と自己組織化単分子膜(SAM)を利用することで2Vの定電圧駆動で移動度1.2 cm2/Vsが得られている(図2)。
さらに、極薄のため測定が困難であるSAMの熱安定性を、吸収端近傍X線吸収微細構造を用いて調べることに成功した。200℃までの加熱によりチルト角は14 ºから18ºまで変化した。一方で、分子の配向性を示す二色偏光値(dichroic ratio)の値は、0.60から0.52まで低下はあったが、依然として比較的高い値であった。このことから本研究に用いたSAMは高温でもその配向を保ち、耐熱性が高いことを示すことができた。

【論文詳細】Kazunori Kuribara, He Wang, Naoya Uchiyama, Kenjiro Fukuda, Tomoyuki Yokota, Ute Zschieschang, Cherno Jaye, Daniel Fischer, Hagen Klauk, Tatsuya Yamamoto, Kazuo Takimiya, Masaaki Ikeda, Hirokazu Kuwabara, Tsuyoshi Sekitani, Yueh-Lin Loo, and Takao Someya, “Organic transistors with high thermal stability for medical applications”, Nature Communications 3, Article number: 723 (06 March 2012).

図1と図2

 

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